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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

尾田栄一郎『ONE PIECE』78巻

ONE PIECE 78 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 78 (ジャンプコミックス)

 尾田栄一郎ONE PIECE』78巻のレビューです。
 ギア4がださいと評判だったので、どんなもんだろうと思って買ってみた。
 最後に『ONE PIECE』買ったのは54巻。27巻までは子どものころ読んでて、よくあるように空島で離脱。そして何年か経ってなんか面白くなってるらしいという噂を聞いてシャボンディ諸島の51巻でまた戻った。51巻あたりはかなり面白かった。でも54巻の監獄編でまためんどくさくなって離脱。そして78巻まで放置という流れになる。
 たまにアニメは見てたのでだいたいの流れはわかってるつもり。ただし、骨のひとのところはまったく知らない。

 この作品に対してはいろいろ思うところはある。まずぼくは子どものころふつうにファンだったってこと。とくにサンジが仲間になるところは大好きで何回も読み返した。当時は絵もシンプルで話も簡潔だった。いまはまったく別の作家が書いてるみたいだ。文学でたとえるなら、はじめたときはヘミングウェイだった。ところがだんだんバルザック化していったとでもいえるだろうか。
 尾田先生の想像力の大きさはそれこそバルザック級だと思う。想像力の巨大さという点において、現代ではこのひとに勝てる作家はなかなかいないんじゃないか。
 どこからだろう、尾田さんは多視点で描くのを好むようになったけど、78巻においては視点の切り替えがかなり細かくなっていて、それはバルガス=リョサの『緑の家』や『世界終末戦争』のようだった。あるいは昔の騎士道小説なんかはかなり意識してるかもしれない。散漫ではあるけれどかなり重層的。登場人物も膨大でそれぞれドラマがある。これはすごい。

世界終末戦争

世界終末戦争

 チャンドラーが好きだってことがこの巻に書いてあった。お恥ずかしいことにぼくはチャンドラー読んでない。ハードボイルド小説というとダシール・ハメットくらいしか読んでないんだよね。チャンドラー作品はキャラクターが泣きまくるんだろうか。ちょっと気になる。まあぼくがいつかチャンドラー読むとしたら原書でかな。ハメットも原書で読んだし。まあ機会があれば。


 でも、なんだかどうも乗り切れない部分もある。
 とくにアクションシーンでキャラクターがどういう動きをしてるのかよくわからないってのが漫画として致命的だと思っていて、それこそ少年時代の莫大で有り余った想像力で補ってやらないとなかなか解読できない。そんなことをしなくてもストーリーの流れは追えてしまうんだけど、漫画の楽しさってストーリーだけにあるんじゃなくて、絵の表現力にもあるわけだし、そういう意味ではなんか残念なんだよなあ。ストーリーだけなら小説でいいわけだし、そして小説ですらストーリーなんてものはむしろおまけみたいなものだったりするし。ストーリー以外の部分の表現を頑張らないとストーリーが立たなくなってしまう。
 ただし尾田先生は一枚のイラストを描かせたらめっちゃうまい。小綺麗なテンプレ作画じゃなく、ちゃんと命の宿ったイラストを描く。だから不思議なんだよなあ。なぜストーリーに絵を置いていくとこうなっちゃうのか。もちろん週刊ってこともあるだろうけど。扉絵連載なんかはうまい。一枚で時間的にも空間的にも広がりのある絵が描かれている。あ、でも初期はちゃんと書けていたんだよなあ。結局書き込みすぎてるのが原因なんだろうか。情報量が多すぎてめりはりがなくなってるというか。ウンベルト・エーコ読むときのつらさに似ている。凡庸な自分が巨人に追いつけない感覚というか。


 ベラミーが出てくるのはなんか燃えた。だって、ベラミー出てきたのって空島直前だもんね。


 79巻は買うと思う。ドフラミンゴ戦がどうなったのか知りたいし。でもそのあとはまたしばらく離脱かなあ。はやく完結させてほしい。でもあと10年以上かかりそうだ。それを思うと絶望感しかない。いつまでぼくらは『ONE PIECE』に縛られつづければいいんだろう。少年時代に読みはじめたし、やっぱり結末は気になるんだよ。
 超長期連載って賛否両論あると思う。いつまでも読んでいたいってファンもいるんだろうし。でもぼくらももうおっさんになってしまったよ……。まあ尾田先生は健康に気をつけて頑張っていただきたい。
☆☆