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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

ミシェル・ウエルベック『地図と領土』

小説 ミシェル・ウエルベック ☆☆

地図と領土 (単行本)

地図と領土 (単行本)

 ミシェル・ウエルベック『地図と領土』のレビューです。
 フランスで50万部を超えたゴンクール賞受賞作って書いてあったので読んでみた。ウエルベックはべつに特別好きな作家ではないけど、ゴンクール賞っていうならと。

 ぼくの持ってたウエルベックのイメージとちがって、すごく穏やかで上品な作品だったように思う。ウエルベック自身が登場し、さらに殺されるなどちょっとしたサービスはあるけど、まあ概ね淡々として刺激の少ない上品な語り口だった。ミステリー展開になるかといったらそうではなく、謎解きなどという読者サービスもなくあっけなく解決するしね。
 50万部売れるっていうのはすごいけど、まあ読みにくい本ではないのでそれも納得できる。日本にも村上春樹がいるし、フランスもまあそんなもんなんだろうなと。こういう作者は幸福そのものだと思うけど、そうでもないんだろうか。
 全体通して漂うのは人間の孤独(笑える部分もある)。『素粒子』みたいなパワーはないけど、これはこれで良い読み物なのでは。ただ、なんか出し切った感はないかなあと思った。ちょっと説明が多すぎるし安直な気もする。
 ああそうそう、Amazonレビューとかで「ウェルベック」って書いてるひとがいまだにいるけど、日本語表記では「ウエルベック」ってことになってるんじゃなかったっけ。「Michel Houellebecq」だから、やっぱり普通に読めばウエルベックじゃないか?
 この作品はがつんとこなかったのはたしかだけど、ただ読後感のなんともいえなさはあって、数年後に思い返すとよかったなあとかなるような本なのかもしれない。衝撃はないけど、こころの奥深くにからみついてくる感じ。人生と相容れず、日々、鬱々としているようなひとに読んでほしいですね。まあ文学ってだいたいそんなもんかもしれない。
☆☆



追記

 なんか新作の翻訳も出るみたいですね! 読むかも。

服従

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