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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

岩原裕二『Dimension W』9巻

漫画 岩原裕二 ☆☆☆

 岩原裕二『Dimension W』9巻の感想です。




 アニメ楽しみですね〜。ミラちゃんは上田麗奈さんということでイメージぴったりですよ!
 9巻では重要な設定が語られ、物語もいよいよクライマックスって感じです。
 生命とは何か。生命にあって非生命にはないものとはなんなのか。それが「可能性」だという。生命はもともと単なる三次元的存在としてだけではなく、「可能性」を持つことによって、三次元的存在以上の奥行きを持つものだった。単なる物質、非生命は静的で閉鎖的ということで、生命は動的で開放的で創造的ということ。生命は爆発性のもので、それは外へ外へと広がっていく「可能性」。非生命は時間とともに削り取られていく内向きの傾向を持ち、拡大増殖していく方向性を持たない。
 だけど、ミラちゃんはすごいアンドロイドで、ほとんど人間と同じように動いている。完全なアンドロイドは新しい情報を取り込み分類し解釈し、それを使って新たなものを創造する能力を持つのかもしれない。それは生命なのか非生命なのか。そのとき人間とアンドロイドとの差とはなんなのか。ミラちゃんは「可能性」を持つのか。
 あるいはルワイ王子がいる。ルワイ王子は人間だけど、過去の事故で体の大半を失い、自分は装置につながれて、遠隔操作でロボットを動かしている、自分の体のように。そこにいるルワイ王子が死んだとき、ミラちゃんは「命の範囲」がどこまでだかわからなかったという。そこにいるルワイ王子は死んだが本体は遠くで生きている。本物のルワイ王子は装置につながれ身動きができないが、遠隔操作によって外の世界とつながることによって、そこで行動し、「可能性」を実現していくことができる。「可能性」の実現を実際に行っているのはロボットであって本体ではない。ロボットは「可能性」を実現させるために人間の手助けをすることができる。逆に言えば自力で「可能性」を実現できなくなった人間もいることを忘れてはならない。
 さらには死者というのもいままでに何人も出てきていて、そのなかで夢も重要な要素になっていた。9巻でもまさにシーマイヤーが夢は次元Wとつながっていると述べている。次元Wとは高次の世界でありながら死者の王国でもある。すべての可能性の極限としての死。コイルは死のエネルギーを使うということであり、コイルを使い始めた人類はつねに生と死のはざまに立たされている。それが生のあるべき形なのか、未来のあり方なのか。死というエネルギーは暴走という形で具体化することもあるが、それは凄絶でおぞましいものだ。
 人類の未来の「可能性」とはどんなものなのか。生と死の境界が限りなくあいまいになっていく。アンドロイドはミラちゃんのように限りなく人間に近づいていくのか。そのとき人権はどうなるのか。新たな差別が生じるのか。人間はルワイ王子のように戦争の歴史のなかで傷つき限りなくロボットに近い存在になっていかざるをえないのか。そしてそういう状況において生命ある人間として尊厳を保ち生きるとはどういうことなのか。
 結構骨太なストーリーといえるかな。ただ残念なのが、敵が小物すぎるってことで、そういう意味で少年漫画の枠に収まってはいますw
 10巻は2016年3月25日発売予定。



 
 文教堂で買ったのでこんなの付いてきました。

☆☆☆