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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

飯田隆『規則と意味のパラドックス』

哲学 飯田隆 ☆☆☆

規則と意味のパラドックス (ちくま学芸文庫)

規則と意味のパラドックス (ちくま学芸文庫)

 飯田隆『規則と意味のパラドックス』の感想です。

言葉はそもそも意味をもちうるのか?言語を通したコミュニケーションを可能にする「規則」に、私たちは従うことができるのだろうか?クリプキウィトゲンシュタインのなかに、こうした問いに否と答える驚くべき議論を見出した。それによれば、私たちが自明のものとして使用する「プラス」のような記号でさえ、「68+57=5」という奇妙な結果に導く可能性を否定することはできないのだ。言語に内在するこうしたパラドックスをいかに解決することができるのか。日本を代表する言語哲学者が切れ味抜群の議論で謎に挑む。哲学的思考への最強の入門書。

 



 この本は以下の本に5章と6章を新たに加えたものらしいです。下の本はKindleでも読めるようです。でも値段考えると、今回のちくま文庫版買ったほうがいいと思います。

 



 というわけで、この本はクリプキウィトゲンシュタインパラドックス』の解説書、入門書といった感じの本になっています。哲学の講義を聴くのがはじめてという学生向けに書かれた本ということで、かなりわかりやすいです。面白いので興味があればぜひ。
 とりあえず目次を

第一章 グルー
 ひとがふだんしている推論の多くは帰納法である
 「グルー」が登場する
 エメラルドはグルーかもしれない
 「グリーン」を「グルー」から区別するものはわれわれの歴史である
 でも、われわれは「グリーン」でグルーのことを意味しているかもしれない


第二章 クワス
 「68+57」の正しい答えは「5」である!
 同じ話を「グルー」について繰り返してみる
 数や色ではなく、あくまでも言葉の意味が問題である
 自分の過去についての完璧な記録を私は手にしていると仮定する
 議論しているいま用いている言葉の意味はとりあえず疑わないことにしよう
 足し算の規則を覚えているからという答えでは十分でない
 合わせて数えてみるという方法も役に立たない
 「心のなかに刻み付けられた」規則と紙の上に書かれた規則のあいだに本質的なちがいがあるわけではない
 「+」でクワスを意味してきたとしても、つじつまは合わせられる
 「+」の公理をもちだしても同じことである
 言葉で何かを私が意味してきたというような事実はない
 それどころか、そもそも言葉が意味をもつという事実からしてありえない


第三章 懐疑的解決
 実際のところ、どれだけ困ったことになっているのだろうか
 意味について語ることをやめようという人もいる
 懐疑的議論を受け入れても懐疑的解決という道がある
 「懐疑的解決」という名称はもともとヒュームに由来する
 われわれの経験を世界に投影したものが因果性である
 因果言明は事実言明ではない
 意味についての言明も事実言明ではない
 他人が私の言葉に意味を与える
 だが、はたして懐疑的解決を受け入れるべきだろうか
 言葉の意味への問いは自分の心への問いに変貌する


第四章 ウィトゲンシュタイン
 懐疑的議論と懐疑的解決はウィトゲンシュタインの議論と解決だとクリプキは言う
 私的言語論は懐疑的解決の一部である
 ほとんどのウィトゲンシュタイン研究者が、クリプキウィトゲンシュタイン解釈は間違っていると言った
 クリプキウィトゲンシュタインウィトゲンシュタインとは別人だが、重要な哲学者であることに変わりはない


第五章 規則のパラドックス
 言葉の意味への懐疑は、規則に従うこと一般への懐疑の一種である
 どんなことをしても決まりを守ったことになってしまう
 どんな決まりを私が決めようと、私がそれを守ることはできない
 言葉の意味への懐疑は、規則に従うこと一般への懐疑においても、決定的な役割を果たす
 懐疑的議論に対してこれまで提案されてきた解決案は三通りある
 傾向性を持ち出すことはなぜ解決にならないのか
 なぜ話し手の意図に訴えることが有望だと思われるのか
 規則に従うためには推論が必要になる
 推論もまた規則に従う活動である
 ひとつの推論のために無限に多くの推論が必要になる
 「亀がアキレスに言ったこと」
 何が推論を正当化するのか
 「さらに亀がアキレスに言ったこと」
 推論が常に別の推論を必要とするのではおかしい
 規則を参照しないのに規則に従っているとどうして言えるのか
 推論ができるということは、ある技能知をもっていることである


第六章 論理と規則
 『哲学探求』のセミナーをクリプキルイス・キャロルのパズルで始めたという
 クリプキクワインが一貫していないと批判する
 全称例化をしたことのないひとに、そうするように教えることはできるか
 論理は取り換えたり新しく採用したりできるか
 ルイス・キャロルのパズルはクリプキウィトゲンシュタイン解釈とどう関係しているのだろうか


 クリプキ小伝
 読書案内
 二〇〇四年版あとがき
 ちくま学芸文庫版あとがき
 人名索引/事項索引

 



 この本で「超仕事(supertask)」って言葉を初めて知ったような気がします(「有限の時間のうちで無限に多くの課題をこなすことを必要とするような仕事や課題のこと」p.171)。そういうことがあるのは知ってるし、よく考えますが、言葉があると便利ですね。これについては英語版ですがウィキペディアにもありました。あと、グルーとか私的言語論とかパラドックスについても載ってます。暇つぶしにいいです(*´▽`*)
グルーのパラドックス - Wikipedia
私的言語論 - Wikipedia
ゼノンのパラドックス - Wikipedia
亀がアキレスに言ったこと - Wikipedia
Supertask - Wikipedia, the free encyclopedia





 飯田隆さんの本というと『言語哲学大全』がほしくてずっとAmazonカートに入れっぱなしにしてます(´・ω・`) 全巻買おうかな。

言語哲学大全1 論理と言語

言語哲学大全1 論理と言語

言語哲学大全2 意味と様相(上)

言語哲学大全2 意味と様相(上)

言語哲学大全 3 意味と様相 (下)

言語哲学大全 3 意味と様相 (下)

言語哲学大全〈4〉真理と意味

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 この本の元ネタになってるクリプキの『ウィトゲンシュタインパラドックス』(『名指しと必然性』しか読んでない……)とネルソン・グッドマンの『事実・虚構・予言』は近いうちに買いたいと思います。

ウィトゲンシュタインのパラドックス―規則・私的言語・他人の心

ウィトゲンシュタインのパラドックス―規則・私的言語・他人の心

事実・虚構・予言 (双書プロブレーマタ 7)

事実・虚構・予言 (双書プロブレーマタ 7)

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