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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

瑚池ことり『犬恋花伝 ――青銀の花犬は誓約を恋う――』

小説 ライトノベル 瑚池ことり ☆☆☆

犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う― (コバルト文庫)

犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う― (コバルト文庫)

 コバルト文庫、瑚池ことり『犬恋花伝 ――青銀の花犬は誓約を恋う――』の感想です。

人と獣の姿を持つ不思議な存在、花犬。そしてその花犬を相棒に狩猟をする花操師。花操師見習いのコトナは、過去にあった花犬との辛い別れが原因で、現在の相棒セキとの関係がぎくしゃくしていた。近く行われることになっている、花操師への昇格試験の合格も危ぶまれる中、凶悪な花犬が出没し、多くの犠牲が出たという。それは、かつてのコトナの相棒である花犬ハルシを殺した相手で―!?

 




 全体的にはなかなかまともなファンタジーでした。
 文章はやっぱりライトノベルだなという感じでした。体言止めの連発や妙に難しい言葉を使っていたりするあたり(たとえば「玲瓏」。ぼくは漢字マニアなのでもちろん知ってますが、普通の中高生は知らないのでは? ていうか日本人の何パーセントが知っているんだろう。しかも使い方もなんかあやしい感じだし。普通は音についての形容では?)。
 わかりやすさを重視するためかちょっと親切な説明が多すぎました。そういうの削って客観描写中心にしたら、もっと本格的な作品になったはず。ライトノベル全般に言えることですが、もっと読者を信用してほしいですね。もっと突き放してほしい。おそるおそる書いてる感じがしました。
 人と犬が狩りをするという話で、花犬は人型にもなりますが、基本的にはしゃべる犬という感じの設定です。セキは人型だと美男子という設定ですが、まだ子供なのでコトナと恋愛するとかそういう安っぽいいかにも少女小説っぽい展開にならなくてよかったです。
 個人的にはしゃべる犬ではなくて、ただの犬のほうが好みだったです。しゃべってるというところがライトノベルらしい面白さでもあり、また同時に安っぽい点でもあります。花を食料とする不思議な犬(しゃべったり人型に変身したりしない)と花操師の絆を描く普通の平凡なファンタジーにしたほうが個人的には好みでした。セキやハルシの気持ちがこの作品では垂れ流しになってそのまま書かれているので(かれらは普通にしゃべるので)、なんかもったいないなあと思いました。しゃべれない普通の犬という設定なら、その辺の微妙な感情の変化を繊細な描写(行為や細かな仕草)で表現していくわけですが。全体的にテンプレ展開で(主人公が死んでしまった過去の相棒のことを思うあまり現在の相棒のことをあまり見ていないので現在の相棒は寂しい思いをしているとかその辺)、しゃべっちゃう分、くどく感じられ、またそれかーってなってしまいます。そこまで説明しなくていいよと。
 でもまあ、子供の犬との絆を描く作品でとても良いです。主人公のコトナも少年向け童貞ファンタジーにありがちな安易な美少女ではなく、素朴でたくましい少女でよかったです。この作品は犬とか動物が好きな女子中学生におすすめです。
☆☆☆