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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

W.B.イェイツ『赤毛のハンラハンと葦間の風』

小説 ウィリアム・バトラー・イェイツ ☆☆☆

赤毛のハンラハンと葦間の風

赤毛のハンラハンと葦間の風

 W.B.イェイツ『赤毛のハンラハンと葦間の風』の感想です。

めくるめく神秘と幻想に満ちたアイルランドの妖精世界へ。ノーベル賞詩人イェイツ(1865‐1939)による世紀末の連作「赤毛のハンラハン物語」を初邦訳。同時代の詩集『葦間の風』から物語に響き合う精選18篇を新訳。

 



 箱付きのハードカバー本ですが、B6変ということでコンパクトサイズです。とてもかっこいい本です。






 解説によると「赤毛のハンラハン物語」は1897年版の初期バージョンと後のグレゴリー夫人との合作版があり、イェイツの死後は主に合作版が読まれてきたらしいです。今回はあえて初期バージョンを翻訳したみたいです。




 イェイツの詩集は原書買ってあるんではやく読みたくなりました。その前に岩波文庫のやつ読み直そうかな。




 印象に残った表現は「エーがスゲの叫びを聞く」の

星々に天をめぐらせる
大車輪の心棒が折れ
東と西を示す旗印が
海淵に捨てられて
光の帯が解かれる日がくるまで
(p.157)

というところ。ぼくが持ってる本だと

Until the axle break
That keeps the stars in their round,
And hands hurl in the deep
The banners of East and West,
And the girdle of light is unbound,

こうなってます。




 印象に残った詩ということだと、「薄明の中へ」です。

くたびれた時代に生きる、くたびれた心よ
善悪の網を逃れて、こっちへおいで
笑ってごらん、もう一度、薄墨色の薄明の中で
嘆いてごらん、もう一度、朝明けの露にぬれながら
 
おまえを生んだ愛蘭土(エール)は永久に若く
露も永久に艶々として、薄明は薄墨の色
それなのにおまえの希望は
毒舌の炎に焼かれて崩れ落ち、愛も亡びていく
 
おいで、心よ、丘また丘がたたなずくここへ
太陽と月と、谷間と森と
川と小川が、不可思議な友愛を結び
それぞれが生きる命を生ききるところへ
 
ここでは、神がたたずんで孤独の角笛を鳴らし
人の世と時の流れは背を向けて逃げ去っていく
愛には、薄墨色の薄明ほどの情けもなく
希望には、朝明けの露ほどの魅力もないのだ
(pp.125-126)

ぼくが持ってる本だと原文は

Out-worn heart, in a time out-worn,
Come clear of the nets of wrong and right;
Laugh, heart, again in the grey twilight,
Sigh, heart, again in the dew of the morn.
 
Your mother Eire is always young,
Dew ever shining and twilight grey;
Though hope fall from you and love decay,
Burning in fires of a slanderous tongue.
 
Come, heart, where hill is heaped upon hill:
For there the mystical brotherhood
Of sun and moon and hollow and wood
And river and stream work out their will;
 
And God stands winding His lonely horn,
And time and the world are ever flight;
And love is less kind than the grey twilight,
And hope is less dear than the dew of the morn

「heap」を「たたなずく」って訳してるんですね。しゅごい……
☆☆☆