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『サミュエル・ベケット短編小説集』

小説 サミュエル・ベケット ☆☆☆☆

サミュエル・ベケット短編小説集(新装復刊)

サミュエル・ベケット短編小説集(新装復刊)

『サミュエル・ベケット短編小説集』の感想です。

待望の復刊! 収録作品=短編と反古草紙(追い出された男/鎮静剤/終わり/反古草紙)/死んだ頭(断章[未刊の作品より]/たくさん/死せる想像力よ想像せよ/びーん)/なく/人べらし役

 



 すばらしい短編集でした。ぼくのはてな及びTwitterのID「unnamable」はベケットの有名な作品からもらってるくらいで、前から感銘を受けてて好きだったんですが、今回は短編を読んでみました。
 収録作品は以下の通り

  • 追い出された男
  • 鎮静剤
  • 終わり
  • 反古草紙
  • 断章(未完の作品より)
  • たくさん
  • 死せる想像力よ想像せよ
  • びーん
  • なく
  • 人べらし役


 最初の三つの短編は早く書かれたもので、「終わり」は1946年ころらしいです。「反古草紙」は1955年なので、『モロイ』(1951)『マロウンは死ぬ』(1951)『名づけえぬもの』(1953)の三部作の後ということになります。「断章」も1955年? 「たくさん」は1966年、「死せる想像力よ想像せよ」が1965年、「びーん」が1966年、「なく」が1969年、「人べらし役」が1970年という感じみたいです。
 個人的には、短いですが「死せる想像力よ想像せよ」「びーん」が特に好きで、「反古草紙」「なく」「人べらし役」も結構よかった感じです。全体的に小説というより詩というか。
 なんとなくメモ

魂も肉体も誕生も生も死も、そんながらくたは何も使わずに続けねばならぬのだ、そんなものはみな言葉によって死んでいる、そんなものはみな言葉の氾濫なのだ。言葉はほかのことを言う術を知らぬ、言葉が言うことはほかには何もない、ここにはほかのものはないということだけだ、しかし言葉はそれをけっして言わない、言うとはかぎらない、言葉は何かほかのもの、なんだっていい、何かほかのくだらぬものを捜し出すだろう、そうすればわたしは続けれらる、いや、止まることができる、または始まることができる、これまたできたてのほやほやの嘘だ、それはわたしの時間をつくる、わたしにしばしの時間をつくってくれる、わたしに場所をつくってくれる、それから一つの声と一つの沈黙をつくってくれる、沈黙の声、わたしの沈黙の声を。
(pp.150-151)

 



 エンタメ小説を書いたり読んだりして楽しむっていうんじゃなくて、芸術として真面目に文学やってるひとにはおすすめです。というかまあみんなベケットは読むわけですが。
☆☆☆☆

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