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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

ウルリヒ・ベック『危険社会――新しい近代への道』

危険社会―新しい近代への道 (叢書・ウニベルシタス)

危険社会―新しい近代への道 (叢書・ウニベルシタス)

 ウルリヒ・ベック『危険社会――新しい近代への道』の感想です。

チェルノブイリ原発事故やダイオキシンなど、致命的な環境破壊をもたらす可能性のある現代の危険とそれを生み出し増大させる社会の仕組みとかかわりを追究。科学と政治のあり方から「危険」のメカニズムを分析する。改訳再刊。

 



 社会学の教科書的なものに出てきたので読んでみました。有名な本らしいですね。「危険」と訳されてますが、「リスク」ですね。社会学では危険とリスクを区別しますよね。
 原著は1986年刊行ということでまあまあ古いんですが、内容にはそんなに古さを感じませんでした。いま読んでもとても面白く、文章も哲学書みたいに読みにくくはないので、大学で社会学勉強しようと思ってる意識高い高校生とか、文学部ではないけれどちょっと勉強してみようという大学生や社会人でも気軽に読めそうな感じ。ぜひ理系のひとにも読んでもらいたいです。時間ないわってひとは「訳者あとがき」だけでもいいと思います。
 第一部は環境破壊、第二部は個人化、第三部は科学と政治(サブ政治)。
 目次

  はじめに
  序論


第一部 文明という火山――危険社会の輪郭


 第一章 富の分配と危険の分配の論理について
  1 自然科学から見た有害物質の分配と社会の危険状況
  2 近代化に伴う危険は科学的知識に依存する
    切り離された現象を関連づける
    暗黙の論理
    科学の合理性と社会の合理性
    危険の定義の多様性
    原因の連鎖と被害の循環をめぐるシステム的思考
    将来の可能な出来事としての危険が行動を促す
    危険を正当化する「潜在的副作用」
  3 階級に特有の危険
  4 文明に伴う危険が地球的規模で拡大する
    ブーメラン効果
    生態的な価値の低下と価値の収用
    危険状況と階級状況とは異なる
    宿命としての危険
    国際間の新たな不平等
    《ヴィラ・パリジ》
    《ボパール》
  5 二つの時代と二つの文化――危険を知覚することと危険が発生することとの関連
  6 世界社会というユートピア
    政治的な真空状態
    困窮によって生じた連帯から不安によって生じた連帯への移行か


 第二章 危険社会における政治的知識論
  1 文明は貧困化するか
  2 科学の危険に対する誤り、まやかしおよび過失とそれらに対する真実――科学の合理性と社会の合理性の対立をめぐって
    危険に対して無知な経済
    「副作用」の叫び
    危険との因果関係を否定する
    許容値のいんちき
    岐路に立つ科学的合理性
  3 社会が抱く危機意識――危険を間接的にも経験していない
    推測の時代
    生けるものの団結
    「スケープゴート社会」
    不確実性といかにかかわるか
  4 近代化に伴う危険が認知されると政治的原動力が発生する
  5 展望――二十世紀末の自然と社会


第二部 社会的不平等の個人化――産業社会の生活形態の脱伝統化


 第三章 階級と階層の彼方
  1 生活形態の文化的進化
    エレベーター効果
    移動性
    教育
  2 個人化と階級形成――カール・マルクスマックス・ウェーバー
    カール・マルクス
    マックス・ウェーバー
  3 伝統的な大集団が終焉を迎えるか
  4 個人化、大量失業、そして新たなる貧困
  5 将来の展開についてのシナリオ
    非身分的な階級の連帯性の成立
    家族的私生活主義から政治的私生活主義へ
    個人化された「非独立者の社会」


 第四章 わたしはわたし――家族の内と外における男女関係
  1 男性と女性の情況
    結婚とセクシャリティ
    教育、労働市場、仕事
    男性の視点からみた女性解放と女性労働
    命題
  2 産業社会は、近代的な身分社会である
  3 女性役割と男性役割からの解放か
  4 不平等の意識化――選択可能性と選択の強要
  5 将来の展開のシナリオ
    核家族への回帰
    男女平等
    女性役割と男性役割を超えて


 第五章 生活情況と生き方のモデル――その個人化、制度化、標準化
  1 個人化の分析的諸次元
  2 ドイツ連邦共和国において個人化を推進する力の特殊性
  3 生き方のモデルの制度化


 第六章 職業労働の脱標準化――職業教育と仕事の未来
  1 標準化された完全就業システムから柔軟で多様な部分就業システムへ
  2 幽霊駅――職業につけない職業教育
  3 教育による機会の分配はなされているのか


第三部 自己内省的な近代化――科学と政治が普遍化している


 第一部と第二部の回顧と第三部の展望


 第七章 科学は真理と啓蒙から遠く離れてしまったか――自己内省化そして科学技術発展への批判
  1 単純な科学化と自己内省的な科学化
  2 科学による認識の独占が解体される
    科学哲学の誤謬可能性
    科学の内と外の混同
    認識の応用を支配する封建主義体
    認識独占の解体に対する科学の反応
  3 応用上のタブーと理論上のタブー
  4 「副作用」の評価可能性について
    科学の利用者が自律性を獲得する
    作り上げられた必然性について
    原因排除かあるいは対症療法か
    完全無欠かそれとも誤謬からの学習能力か
    専門分野相互の関連を基礎とした専門化
    科学的合理性の学習理論の必要性


 第八章 政治の枠がとり払われる――危険社会において政治的コントロールと技術−経済的変化とはいかなる関係に立つか
  1 近代化における政治とサブ政治
  2 政治システムの機能喪失を論難する
  3 政治を無力化する民主化
    市民の権利を認識することと文化としてのサブ政治が細分化していくこと
    新しい政治文化
  4 政治文化と技術発展――進歩のコンセンサスの終焉か
  5 サブ政治としての医学――極端な例
  6 テクノロジー政策のジレンマ
  7 企業合理化というサブ政治
  8 要約と展望――三つのシナリオ
    産業社会への回帰
    技術=経済的発展の民主主義化
    政治の分化



    役者あとがき
    著者紹介
    主な邦語訳文献
    参考文献

☆☆☆