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フィギュアレビュー、本・漫画の感想など

パスカル・キニャール『いにしえの光〈最後の王国2〉』

エッセイ 評論 パスカル・キニャール ☆☆☆

 パスカルキニャール『いにしえの光〈最後の王国2〉』の感想です。

時間に論理性はない―ナチス以後、また原爆投下以後の、「人間性の終焉」の時代に、滅びることなく生きいきと蘇る古代壁画…無常の時間の流れの彼方にある生の輝きを探究する、ベルグソンを専攻していた著者ならではの「時間」論。哲学的思索、文学、歴史、人類学、精神分析、生の断片…それらを分かちがたいひとつの思考作用としてとらえ、小説、エッセイ、評論などの枠を越え“人間”存在を再検討する、“最後の王国”シリーズの時間をめぐる思索。

 



 パスカルキニャール・コレクションの「最後の王国」。キニャールは「エマニュエル・レヴィナスのもとでベルクソンの時間論に関する博士論文を準備していた」(p.314)ことがあるそうです。ぼくもベルクソンに影響受けた人間なので、なるほど、キニャールも読まなきゃと思ったのでした。レヴィナスも好きですしね。
 この本は「往古」をめぐる省察という感じです。往古というのはフランス語のle jadisの日本語訳です。
 ベルクソンの『時間と自由』『物質と記憶』なども読んでおくといいかもしれません。あ、でも、この本は哲学的詩的エッセイではありますが、べつに難しくはないです。ベルクソンとか読んでなくても読めると思います。

 一本の川の水を汲み尽くすことは不可能だ。
 その川よりも前にあった川からその水は流れてくるのだから。
(p.79)

 すべての噴出の中には、たったひとつの噴出しかない。その唯一の噴出こそ、水源の噴出である。
 ひとつの水源しか存在しない。動物に先行する生に先行した太陽はたったひとつである。わたしはそれを〈往古〉と呼ぶ。
(p.259)

 過去以上に破壊不可能な過去が存在する。その過去こそ、わたしが往古として定義したものだ。それは、原初の状態で世界に接近しつづける不定過去という時間である。前進することは、存在の背後に身を置くことでもある。
(p.296

 日本の話題も結構出てくるので、日本人にとって読みやすい本になってるかもしれません。若干マンネリ気味でもあり、重厚で圧倒されるような本ではないですが、結構共感できて面白かったです。
 Amazonで買えないっぽいですが、hontoとかで買えます。
honto.jp

☆☆☆