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熊野純彦『レヴィナス――移ろいゆくものへの視線』

 熊野純彦レヴィナス――移ろいゆくものへの視線』の感想です。

戦争と虐殺の世紀を生き延び、さまざまな「無用の苦しみ」を問うことから生じたレヴィナスの哲学。そのテクストに刻み込まれた「時間」「所有」「存在」「他者」とは何を意味するのか。倫理学の第一人者である著者が、難解といわれる二つの主著『全体性と無限』『存在するとはべつのしかたで』のテクストを緻密に読み解く。現代を生き抜く強靭な思考を浮かび上がらせる名著。

 



 レヴィナスの二つの主著、『全体性と無限』『存在するとはべつのしかたで』(講談社学術文庫のタイトルだと『存在の彼方ヘ』)を解説したもの。新書ほどではないですが、とても読みやすく書かれていて、ある程度哲学書読んだことあるひとならさくっと読めると思います。ゆっくり読み解いていく感じなのでイメージもしやすくて読みやすいかと。まあちょっと読みやすすぎる気もして、哲学書読んだこともないみたいなひとがいきなりこの本読むと、読みやすすぎて誤読しちゃうんじゃないかなんて思ったり。
 レヴィナス解説的なものを読むのは初めてだったんですが、こうやって改めて読んでみてぼくはレヴィナスに結構多大な影響を受けているのかもしれないと思いました。大学卒業してすぐの時期に『全体性と無限』読んでなんか妙に感動したんですよね。まあ『全体性と無限』はデリダに批判されて、それを受けて『存在の彼方ヘ』が書かれたらしいんですが。
 レヴィナスはとても高潔なひとなんだなあと思います。あまりにも高潔すぎてぼくにはすべてを受け止めきれないような感じがする瞬間があります。そういえば『存在の彼方ヘ』は結構読むのつらかった記憶が……。
 ある程度哲学の問題意識を共有してるひとがレヴィナス読むきっかけにするのにはいい本かもしれません。
 目次

  まえがき
  凡例


第I部 所有することのかなたへ
  ――レヴィナスにおける〈倫理〉をめぐって――


 第一章 問題の設定
  ――〈身〉のおきどころのなさの感覚から――


 第二章 自然の贈与
  ――始原的な世界を〈口〉であじわうこと――


 第三章 所有と労働
  ――世界に対して〈手〉で働きかけること――


 第四章 裸形の他者
  ――〈肌〉の傷つきやすさと脆さについて――


 第五章 歴史の断絶
  ――声ではない声に〈耳〉を澄ませること――



第II部 移ろいゆくものへの視線
  ――レヴィナスにおける〈時間〉をめぐって――


 はじめに――移ろいゆくものへ


 第一章 物語の時間/断絶する時間
  1 歴史の拒絶?
  2 現在の優位?
  3 断絶する時間


 第二章 時間と存在/感受性の次元
  1 存在者の意味
  2 時間の時間化
  3 感受性の次元


 第三章 主体の綻び/反転する時間
  1 存在のてまえ
  2 近さの時間性
  3 反転する時間


 おわりに――〈ある〉への回帰


  註
  あとがき
  岩波人文書セレクション版あとがき
  岩波現代文庫版あとがき
  解説
  人名索引