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アントナン・アルトー『タラウマラ』

タラウマラ (河出文庫)

タラウマラ (河出文庫)

アントナン・アルトー『タラウマラ』の感想です。

「私は世界の最終地点の一つにたどり着いていた」―メキシコのタラウマラ族との出会い、そのペヨトル/ダンスの儀式はアルトーに決定的な啓示をあたえ、「器官なき身体」への道を開いた。巨大な岩石からなる地理とシャーマニズム的儀式をみずからの身体に打刻する苛烈な実験の衝撃をしるし、世界への新たな闘いを告げる特異なテクスト群を集成したアルトーの奇蹟の書。

 



 作品紹介にあるように、メキシコのタラウマラ族に関するもの。ウィキペディアにも項目がありますね。



タラフマラ族 - Wikipedia




「ペヨトル」とは幻覚作用を持つサボテン科に属する植物らしいです。タラウマラ族は儀式のときにこれを吸引して一種のトランス状態に入るらしいです。
 この本はまさに魔術的、秘教的な内容になっていて個人的にはとても興味深かったです。ただ、物質文明に生きる多くの現代人はこういうものに対して「うさんくさい」「くだらないオカルト」という感想を持つかもしれませんし、それは至極当然の反応のようにも思えます。ぼくはこういうのが好きなんですが、共感してくれるひとはあまりいないです(´・ω・`)
器官なき身体」という言葉そのものは出てきませんでした。
 メモ

最初に世界はまったく現実であり、人間の心において、人間の心とともに響いていた。いまや心はもはやそこになく、魂はそこにない。なぜなら神がそこから立ち退いたからである。事物を見ること、それは無限を見ることであった。今光を見つめるとき、私は神を考えるのに困難を覚える。
(p.35)

ルネサンスの〈人文主義〉は人間の拡張ではなく縮小であった。というのも〈人類〉は自然にまで自分を高めるのをやめ、自然を自分の寸法にあわせて引き降ろそうとしたからである。そして人間的なものを排他的に重視して、自然的なものを失ったのである。
(p.100)

純粋に物理的な文明の支配によって獲得されるあらゆる前進、あらゆる安逸はまた一つの喪失、一つの後退であることを彼らは知っている。
(p.112)

 



 解説からメモ

法、理性、自我、精神、資本、労働、技術、言語、歴史、これらは厳密に連鎖して一体になり西洋的統制の輪を広げている。〈私〉を狂気の縁につれていったのは、むしろ国家の病、国家という病(パラノイア)であった。最終的にそれから癒えるには国家の外に出なければならない。そのような〈外〉の生を見出さなければならない。実はそういう生だけを選ぼうとしてきた〈私〉の追求には別の名前がついていた。残酷、アナーキズム器官なき身体……。
(p.212)

 




ヘリオガバルス』は小説なのか何なのか判然としない本でとくに1章が読みにくいですが(最後まで読めば面白いんですが)、こっちの『タラウマラ』はエッセイとしてすらすらと楽しく読めますし、アルトーの興味関心もよく伝わってきました。『アルトー後期集成』の購入も検討してみます(`・ω・´)
☆☆☆