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雨がっぱ少女群『麻衣の虫ぐらし』1巻

 雨がっぱ少女群『麻衣の虫ぐらし』1巻の感想です(´;ω;`)

断筆宣言から9年――。
伝説の絵師・雨がっぱ少女群の中で
新たな美少女たちが芽吹きだす。

天真爛漫でいつものほほんな、職探し中の麻衣。
孤独な生い立ちを抱えつつ、
祖父とふたり暮らしをしながら、農業を営む菜々子。
この土地に生息する虫の保護活動に力を注ぐ来夏。
虫と戯れ、虫に翻弄される、彼女たちの軽やかな日々。

 



 一見ふわっとしたほのぼの系に見えますが、けっこう真面目な内容です。ただの萌え系美少女が農業やってますみたいな漫画ではなくて、しっかりその土地の人間の人生が描かれています。でも必要以上に重苦しくはないです(p.71のギャグはお腹痛いw)。若者同士の会話にはユーモアがあって、老人同士の会話には軽いアイロニーがあります。田舎の自然、農業、地方の高齢化、若者の失業、親と子、生と死、記憶……などといった当たり前の人生の要素がいっぱい詰まっています。死期の近いおじいさんの見舞いにきた友人が「元気そうじゃないか」(p.111)と笑顔で言うシーンなんかとてもリアルだなあと感じました。




 見てわかる通り、女の子かわいいです。絵がうまいですね。入浴シーンも多いですが、乳首描写はないです。菜々ちゃんはほんと天使です(*´ω`*)
 主人公の麻衣さんは20歳。入社1年目でリストラされて現在無職。菜々ちゃんの農作業を手伝うなどして野菜をわけてもらったりして生活しています。麻衣さんはどうやらお金持ちのお嬢さんらしいのですが、親子関係がうまくいかなかったのかどういう状況なのかわかりませんが、進学せずに働きはじめたようですね。まあ田舎だと進学するひとも都会と比べて少ないのかもしれませんが。




 うちも母の実家が農家で、祖母が亡くなるまでは畑もたくさん持っていたのでなんだか共感する部分がありました。ぼくにとって田舎というと田んぼ、畑、墓、仏壇、蜂、野菜というイメージです。他の要素とすれば、使われていない井戸があったり、蔵があったり、ぼくの小さいころには薪でお風呂を焚いていました。
 田舎にはなんかいつでも死の気配がありました。老人が多いというのもありますが、自然との共存あるいは戦いでもあるので死は身近にあるイメージ。小さな子供の頃から田舎に行くといろいろ考えました。夜は暗くて星がきれいに見え、夏場でもけっこう涼しいです。車はほとんど通らず、カエルや虫たちの鳴き声が川から聞こえてきます。普段は使っていない客用の布団を引っ張り出してきて家族で寝ていると、隣の両親はすでに寝ているのにぼくは寝つくことができず、部屋には戦争で亡くなった祖母の兄弟の遺影などが飾ってあり、頭のなかで人生ってなんだろう、死んだらどうなるんだろう、死ぬのは怖い、でも人間はいつか死ななきゃいけない、仮に大好きな母に泣きついて慰めてもらってなんだかそれで救われた気がしても実は問題が解決したわけじゃないのだからどうしようもないだろう、ただ時間だけが過ぎていく、着実に、誰にもどうしようもない……などと考え続けます。天井をぼうっと見ながら恐怖を受け止め、体の力を抜き、ただこの生に身を任せていく。するといつの間にか寝てしまい、気付くと朝になっていて、これまた客用の茶碗や食器、箸で線香のにおいのする部屋で食事をとり、一日が始まります。ぼくの思考とは関係なく世界は進んでいき、ぼくもまたそういった時の流れに否応なく巻き込まれています。
 ぼくは小さいころ死ぬのが怖くてよくパニックになってました。自分の存在しないという状態、無という状態が理解できなかったからです。ぼくがパニックになって泣き叫んでいると、母は「怖くない」「大丈夫」と言ってくれました。ぼくは救われた気になりました。でもすぐにそんなの嘘で、何も変わっちゃいなくて、問題はあまりにも大きく、人間という存在はあまりにも無力だと絶望するのでした。




 すべてのひとが死の運命を抱えていますが、それでもみんなけっこう飄々と生きてるんですよね。思いつめることもなく、冗談を言い合ったり、馬鹿騒ぎしたり、仕事を頑張ってみたり。この漫画でも死の床にあるおじいさんのすぐそばで普通に軽いやりとりが行われているし、現実にもそうでしょう。ぼくも祖父母や親戚を数人亡くしましたが、実は思っていたほど死の場面においてみんな深刻ぶってもいないですよね。もちろん生前近かったひとたちはものすごく悲しいでしょうけど、それでも結局生きていくしかなく、お手上げです。




 漫画の感想だかなんだかわからないものになっちゃいましたが、とてもいい漫画なのでおすすめですよ!
☆☆☆☆☆