愛してくれてマジ感謝

ホビー・ファッション・文房具関連のレビュー、本・漫画の感想などを書いている画像の大きいブログ

高橋康也『サミュエル・ベケット』

 白水uブックス、高橋康成『サミュエル・ベケット』の感想です。

いつの時代にも、新しい読者を獲得し読ける稀有な作家、サミュエル・ベケット。ゴドーとは何者なのか。ベケットの半生とその時代を辿りつつ、“道化”の誕生から終末までを代表作を中心に読み解く。第一人者によるベケット入門の名著。著者のベケット追悼文と吉岡実の関連エッセイを併録。

 



 もともとは1971年に出た本のようです。最近になって白水uブックスから出ました。
 ベケットの生い立ち、ジョイスとの出会い、短編集、『マーフィー』『ワット』と紹介され、小説三部作『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』『ゴドーを待ちながら』が中心的に語られ、その後の戯曲、ラジオドラマ……といった感じの構成になっています。詩については触れられていませんでした。
 入門書ということでベケットの全体像がさくっとわかるようになっています。ただし、ある程度読んでないと、この本だけ読んでも実感としてわからないと思います。とにかく小説三部作を読んでおくのがおすすめです。ぼくは英語版で読みました。ちなみにこのブログのURLのunnamableは『名づけえぬもの』から取ってますw
 この本を読んで思ったのはフランス語版も重要だということです。

言葉のあらゆる意味で貧しさの岩磐に達しようとすること――これがベケットの創作を貫く根本的原理であるからには、英語という言語は彼にとって今や豊かすぎる媒体と見えたにちがいない。
(p.73)

 この説明は得心がいくというか、この本読んでて一番印象に残った部分です。
 薄い本なので読みごたえはあまりないです。ブランショとか読んだ方がいいと思いますが、でもまああっちはたぶん誰でも読めるというものでもないので、こういった入門書の存在はありだと思います。
 個人的には高橋さんとは若干解釈が違うようで、うーむ……という部分もありました。その話をすると長そうですが、ぼくは理論家ではないので、まあいろんな意見があるよねということで……
☆☆