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プロティノス『エネアデス(抄)』

エネアデス(抄)〈1〉 (中公クラシックス)

エネアデス(抄)〈1〉 (中公クラシックス)

エネアデス(抄)〈2〉 (中公クラシックス)

エネアデス(抄)〈2〉 (中公クラシックス)

 プロティノス『エネアデス(抄)』の感想です。

 プロティノスの著作は54あって、この翻訳ではそのうち11個が集められています。
 上巻

  • 善なるもの一なるもの(『エネアデス』第6論集 第9論文)
  • 三つの原理的なものについて(『エネアデス』第5論集 第1論文)
  • 幸福について(『エネアデス』第1論集 第4論文)
  • 悪とは何か、そしてどこから生ずるのか(『エネアデス』第1論集 第8論文)
  • 徳について(『エネアデス』第1論集 第2論文)

 下巻

  • 美について(『エネアデス』第1論集 第6論文)
  • エロスについて(『エネアデス』第3論集 第5論文)
  • 自然、観照、一者について(『エネアデス』第3論集 第8論文)
  • 英知的な美について(『エネアデス』第5論集 第8論文)
  • グノーシス派に対して(『エネアデス』第2論集 第9論文)
  • 一なる者の自由と意志について(『エネアデス』第6論集 第8論文)

 これの他に山口義久による「プロティノスと現代」という解説と、ポルピュリオスによる「プロティノスの一生と彼の著作の順序について」(プロティノス伝)というのが最初に置かれてます。ポルピュリオスの方は読んでおいたほうがいいと思います。54の著作を6つの論集にそれぞれ9論文ずつ割り当てたというのも書かれています。執筆順に配列したのではなく、内容でまとめてあるようです。
 プロティノスの『エネアデス』は、第1論集は「倫理学的な著作」、第2論集は「自然学的題材」「世界についての著作」「世界に関連する問題を扱う著作」、第3論集は「宇宙に関する考察」、第4論集は「魂についての諸論文」、第5論集は「英知に関する題材」、第6論集は残りとなっているようです。
 あと、II巻の最後に「『エネアデス』要約」として全54論文の簡単な要約が載ってます(執筆順。今回訳出されている11論文は省略)。索引もあります。




 訳語が統一されていないんですが、とくに問題はないと思います。まあ統一してあったほうが親切ではありますが。




 プロティノスの思想は一者(ト・ヘン、絶対善)――知性(ヌース)――魂――自然(ピュシス)という序列になってます。図式化することは理解を容易にさせますが、同時に理解してないことにもなります。ただし、この図式がわかってしまえばだいたいわかったような感じになってしまうのも事実。
 ちなみにぼくはカバラも好きなんですが、生命の木で言えば、最下位の自然がマルクトで、魂がイェソドで、知性(英知)はケテルからホドまでということになるでしょうね。一者は同じ位置(というか非位置とでもいうべきか)。またプロティノス否定神学のようなことを言っています。
 プロティノスの思想は一者に関する考察が根本にあって、この世界を絶対的に肯定しようという感じがしました。ぼくには眩しいという感じですが、なかなか現代ではお目にかかれない美しいものなのではないでしょうか。力を感じました。ただまあ、グノーシス派に対して煽り入れてるのはちょっとなあとは思ったりもしましたが。




 抄訳は正解だと思います。研究者はもちろん原文で全部読むんでしょうけど、抄訳でも全体像がわかるのでぼくらみたいな素人はそれで十分かと。これ以上読んでもそれほど大きく得るものはなさそう。
☆☆☆